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テクニカルノート

シリコン分割流し込み法

ここでは注型の入門として一番ポピュラーなシリコン分割型の方法を掲載しています。
注型、真空注型で複製品がどの様にして出来上がるか、またポイントで気を付けなければならないポイントを説明しています。

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シリコンを2回に分けて流し込み型を作る方法

シリコン型の作成には切開で2分割に分ける方法と粘土型埋め法がありますが、マスターモデルによっては切開2分割法ではパーティングラインが複雑な場合はカットするのが困難な場合があります。
また、内部に穴等があるとさらに難しくなります。

粘土片埋め法ですと粘土によって付加型のシリコンですと硬化不良を起こします。
また、パーティングラインを綺麗に仕上げるのに処理が面倒です。

今回はシリコンを1面づつ流し込みシリコン型を作る方法を行いました。
特にケース状で薄物には向いている方法です。

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型の設計

マスターモデルの大きさを考慮しシリコン型の大きさを決めます。
マスターモデルは気泡が残らないように傾きを考えシリコン型の傾きを考えます。
型の大きさはマスターモデルの周囲から2㎝程度取りクランプ圧による歪みを防ぎます。
厚さはマスターモデルの上下から1㎝以上取りたいため、型の厚さは5㎝程度になります。
また今回は湯溜まり部分も作ります。
今回は溶剤含有系のウレタン樹脂を使用するため、湯溜まりの深さは3.5㎝にします。

※湯溜まりを作らない時は注型時にガムテープ等でシリコン型上部に湯溜まりを作ってやります。

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材料の準備

図面から型枠を作成します。今回はコンパネを使います。
湯溜まりはケミカルウッドで作ります。
今回は型ずれを防ぐためマスターモデルの外周から1㎝程度大きめの3ミリ厚のケミカルウッドの板を用意しました。この板の周囲の縁は台形に仕上げます。
台形の板でなく周囲を囲むような物でも良いですが断面は台形になるように」削ってあります。

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ゲートの取り付け

マスターモデルに樹脂が流れ込むゲートを取り付けます。
注型後にゲート部分を切り取り処理するため、切り口が目立たない部分に取り付けます。

※真空注型ではゲートの太さは1㎜角程度の断面積でも樹脂は流れ込みます。

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穴の処理

マスターモデルの内側からマスキングテープを貼り穴を塞ぎます。

※セロファンテープでも良いですが穴の縁がテーパー状になっている物はマスキングテープがフィットします。

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浮かせ板の張り付け

今回はマスターモデルの裏の内側にパーティングラインを作るの、でマスターモデルを1㎜程度浮かせるため板を貼って剥がせるタイプの両面テープで貼り付けます。

※強力に貼ってしまうと後で剥がし難くなりますのでテープを小さく切って数か所貼ると良いでしょう。

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位置ずれ防止板と湯溜まりの貼り付け

型枠に位置ずれ防止のため先に作成した板と湯溜まりを貼り付けます。
これも片側にシリコンを流し込み硬化後取り除きやすくするため、貼って剥がせる両面テープで貼り付けます。

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マスターモデルの貼り付け

位置ずれ防止板の上にマスターモデルを貼って剥がせる両面テープで固定します。
周囲に4か所台形に四隅を仕上げた3㎜厚のケミカルウッド小片を貼り付けました。

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型枠の組み立て

型枠の縁に両面テープを貼り枠を組み立てます。
周囲にマスキングテープを貼り、隙間からシリコンが流れ出ないようにします。

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片側のシリコンを流し込む準備

シリコンを用意します。
型枠の内側寸法を測ります。 
縦21㎝×横14㎝×流し込む深さ2.5㎝
おおまかなシリコンの量の計算方法
21×14×2.5÷1000=0.735㎏
容器に付着して残る分とマスターモデルと湯溜まりの容積を考えシリコンの量を推定します。

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予備脱泡

混合、撹拌し予備脱泡を行います。

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1回目シリコン流し込み

予備脱泡したシリコンを型枠に流し込みます。

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再度脱泡

型に流し込んでからもう一度脱泡を行います。
この時木を付けなければならないのは吸引速度と解放速度です。
急激に吸引するとマスターモデル内部の空気が膨れるためマスターモデルが板から剥がれてしまうのでバルブで調整し徐々に真空度を上げていきます。
解放する時は急激に泡が萎むため穴を塞いだマスキングテープが剥がれないよう超スローで解放します。
今回はマスターモデルを1㎜程度浮かせてあるので良いのですが、浮かせないで下板にピッタリ貼り付けてある時は特に気を付けます。
マスターモデルの形状から逃げ穴が無い時は、一部マスキングテープを貼らない、穴を開けておく等の処置を行っておきます。出来ない場合は浮かせて固定します。

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シリコンの硬化

シリコンを流し込んだら型枠を水平に保ち硬化させます。
今回のシリコンは24度8時間で硬化するタイプで恒温槽を使用します。

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型枠の分解

シリコンが硬化したら型枠をばらします。
シリコンの周囲はせり上がっているのでカッターで切り取ります。

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型枠の下板を取り外す

型枠の下板を取り外しますが、この時シリコンからマスターモデルが外れないように気を付けます。

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片面の仕上げ

片面のシリコン型を仕上げますが、今回のますたーモデルでは裏の内側にパーティングラインが来るようにカットして仕上げます。
カッターでマスターモデルの内側に若干外に傾斜するようにカットします。(上の画像の赤点線)
マスターモデルの側面切り掛け部分も内側に合わせカットします。
その他不要な部分等をカットして仕上げます。

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シリコン流し込み2回目の準備

片側のシリコン型が仕上がったら2回目のシリコンを流し込む準備をします。
湯溜まりを両側に設けるため湯溜まりのマスターモデルを浮かせます。
再度型枠を組み立てシリコンが漏れないようにマスキングテープを貼ります。
型枠が低いので脱泡時シリコンがこぼれ出ないようにテープで縁取りしてあります。

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離型剤の塗布

2回目のシリコンを流し込むと、1回目のシリコンと接着してしまうため離型剤を塗ります。
今回はモールドリリーズというスプレーを吹き付けます。
シリコンどうしが接着しない物なら他の離型剤でも構いません。
マスターモデルに離型剤が付くのを防ぎたい場合はマスキングや部分塗布するようにします。

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反対側のシリコン流し込み

1回目のシリコンの流し込みと同じように2回目のシリコンを流し込みます。
同様に水平にし硬化させます。

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型割

シリコンが硬化したらシリコンを割って中のマスターモデルを取り外します。
ここでマスターモデルに取り付けたゲートを切り出します。

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注型

シリコン型は完成したので樹脂の注型を行います。

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注型完了

パーティングラインも目立たなく綺麗に注型できました。
ゲートの部分を切り仕上げ完成です。

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今回使用した材料

注型樹脂:東洋キャスティング工業:プラセプトNo.1(耐黄変性)グレー
シリコン:旭化成ワッカーシリコンM4648J (付加型)

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